文章力とは、文章を通して気持ちや考えを表現する力を指します。自分が相手に伝えたいことを分かりやすく伝える力のため、あらゆるシーンで活用できます。しかし、子どもの文章力を上げるために、どのようなトレーニングを積めばよいのかがよく分からない親御さんもいることでしょう。
本記事では、文章力の重要性を確認するとともに、子どもの文章力を鍛えるための最適なトレーニング法を紹介します。実践しやすい方法がたくさんありますので、ぜひ最後までお読みください。
文章力の意味とは?
文章力とは、自分の伝えたい内容を相手に分かりやすく届ける文章を書く力です。文章力にはたくさんの要素が含まれており、例えば次のように分類できます。
【文章力の要素】:語彙力、表現力、想像力、発想力、論理的思考力など
また、文章の種類には日記やブログ・エッセイ、小説などさまざまなものがあり、文章を読む人も子どもや顧客・上司など多岐に渡ります。文章力の高い人とは、相手や状況に応じた適切な文章が書ける人だといえます。文章力が高ければ、どのような相手や状況であっても、自分の思いや考えを分かりやすく伝えられることでしょう。
文章力はあらゆるシーンや職業で役立つ!
文章力はあらゆるシーンや職業で役立ち、文章力があれば活躍の場は広がります。
- ビジネス:上司や同僚、顧客とのやりとり(商談、ビジネス文書、提案や企画書、メール送受信、製品スペックの説明など)
- プレゼンテーション:PowerPointなどの資料、議事録の作成など
- プライベート:お礼や謝罪の手紙、友人とのチャット、会報誌の作成など
シーンや職業によって文章の書き方に多少の違いはありますが、文章力があった方が人とのやり取りはスムーズにいくでしょう。また、高い文章力があれば他者に認められる機会が増え自信を持てるようになるという意味でも、文章力を鍛えるメリットは大きいと考えられます。
文章力を上げるために心がけたいポイント
文章力を上げることに対して、「意外にハードルが高いのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、文章力を上げるための「ポイント」を意識するだけで、少しずつ改善していきます。
本章では、文章力を上げるために心がけたいポイントを3つ解説します。
- 誰に伝えるのかを意識する
- 難しい言葉や専門用語を多用しない
- 文章を引き延ばさない
この3つは、あらゆるシーンや職業で役立つ視点です。自分の思いや考えを正確に伝えるためにも、しっかり確認しておきましょう。
1.誰に伝えるのかを意識する
文章力を上げるポイントは、伝える相手を意識することです。特に思いが強いときは一方的な表現になってしまいがちですが、必ず相手の存在を意識しましょう。
例えばビジネスで何かを訴求したい場合、商品やサービスを「誰」に購入(利用)してもらいたいかを明確にします。「誰」はペルソナ(persona)といわれ、年齢や性別、職業などの具体的な顧客モデルを指します。
モデルを設定するのは、対象を明確にした方が相手にしっかり伝わるためです。文章を書くときも同様に、誰に伝えるのか明確にするとよいでしょう。
2.難しい言葉や専門用語を多用しない
文章を書く際は、難しい言葉や専門用語を多用しないようにすることをおすすめします。具体的には、次の点に気をつけるといいでしょう。
- 大体の内容を説明する
- 難しい用語はかみ砕く
- 具体例でまとめる
まず「○○はどういうことか?」について、比喩や相手が知っていると思われる言葉を使って書いていきます。続いてやさしい言葉を使って説明すると、相手の理解が徐々に深まっていくでしょう。最後に具体例を示して説明を加えると、専門用語でも自然に理解できるようになります。
3.文章を引き延ばさない
文章を書く場合、「長く書かなければ……」と思う人もいるかもしれません。しかし、文章を引き延ばすと冗長表現が多くなってしまう可能性が高く、相手に伝わりにくい文章になってしまいます。
長さばかりに気を取られると同じ内容の文章を繰り返す可能性がありますし、情報を詰め込みすぎてしまい、読者にとって分かりにくくもなってしまうでしょう。文章力を上げるには相手にとって分かりやすい言葉を選び、目的やテーマを念頭において書くようにする必要があります。
子どもの文章力を上げる5つのコツ
ここからは、子どもの文章力を上げる5つのコツを紹介します。
普段の会話や何気ないやり取りで使える方法に絞りましたので、実践しながら少しずつ子どもの文章力を上げていきましょう。
1.普段の会話を質問で広げる
子どもの文章力を上げるためには、普段の会話に「質問」を入れてみましょう。例えば、次のような会話をすることをお勧めします。
親「今日の学校はどうだった?」
子「楽しかった」
親「何が一番楽しかったの?」
子「昼休みにドッジボールをしたこと」
親「へえ、ボールを受けるコツはあるでしょ、どうすればいいの?」
子「ぼくもボールを受けるのは怖いんだ。でも、逃げるのは得意だよ」
親「どうやって逃げるの?」
留意点は、YesやNoで終わる回答ではなく、紹介した会話のように子どもが説明できる質問をすることです。
このような会話をすることで親は子どものことを知る機会になり、子どもは親に分かるように説明する力を養えます。会話による説明力は、文章力の向上につながるでしょう。
2.文章のミスにネガティブな指摘をしない
親が子どもの文章を読んで「意味がよく分からない」「句読点のつけ方がおかしい」などネガティブな指摘ばかりすると、子どもは文章を書くことが嫌いになるかもしれません。
文章力を高めるためには、どんなに些細なことでもいいので、まずはほめることから始めましょう。ほめて子どもの気持ちを上げる方が、文章を書く抵抗感を和らげられます。
例えば「文章の流れがいいね」とほめ、続いて「ここで段落を変えた方が、もっと相手に伝わるかも」とさりげなくアドバイスするといいでしょう。
3.子どもが書いた文を朗読してもらう
子どもに、書いた文章を朗読してもらうこともおすすめの方法です。低学年のうちは喜んで音読していた子が高学年になると音読しなくなる場合もありますが、自分が書いた文章を読む機会は文章力向上のために必要です。
その大きな理由は、書いた文章の読みやすさを読者の視点でチェックできるためです。句読点がなく冗長な文章が続けば、朗読した子どもは「なんだか読みにくいなあ……」と自分で気づけるかもしれません。
もちろん誤字脱字のチェックもできるため、文章におけるミスを発見しやすくなるというメリットもあります。
4.論理的思考力を育てる
文章力を上げるには、論理的思考力を育てる必要があります。論理的思考力は、文章の組み立てを意識して書く練習をすれば鍛えられます。
例えば、ビジネスで使われる文章構成方法の1つにSDS法やPREP法がありますが、子どもの論理的思考力や文章力を磨くために活用できることもあるでしょう。
- SDS法:結論(Summary)→説明(Details)→結論(Summary)
- PREP法:結論(Point)→理由・根拠(Reason)→具体例(Example)→結論(Point)
最初に結論を伝え、説明や具体例を加えて最後にまとめるパターンは、子どもにとっても分かりやすい文章術だといえます。
5.少しずつ課題を与える
親御さんのなかには、子どもに具体的な課題を与えたいと思う方もいるでしょう。その場合は、新聞や書籍の要約、日記を書くなどの方法を試すことをおすすめします。
例えば、新聞や小説の書き出し、慣用句・ことわざ、比喩などを子どもにまとめさせましょう。少しずつ取り組ませることで、子どもが文章を書く際の参考になる言葉や表現が増えます。また、日記など毎日何かを書く習慣をつけさせることも文章力の向上につながるでしょう。