子どもに自主勉強してもらいたい時、どう接したらいい?
自主勉強(自主学習)は、小学生の子ども一人ひとりが自分の能力や個性と向き合って行う学習です。自主勉強の仕方は個人に任せられているため、自由度が高く迷ってしまうこともあるでしょう。
時には、親が子どもの自主勉強をサポートしたり、アドバイスしたりすることもありますよね。しかし最終的には子どもが自分の意思で選択することが大切です。得意を伸ばす場合も不得意をカバーする場合も、子どもが能動的に自主勉強に取り組む姿勢が求められます。
今回は、子どもが自主勉強を自分から行いたくなる声かけや、隙間時間にできる自主勉強のネタなどについてご紹介します。学校の授業のように「与えられる」のではなく「自ら目標を決めて主体的に学ぶ」のが自主勉強です。子どもが自主勉強に積極的になることで、勉強の習慣が自然に身についていくでしょう。
自習・自学が嫌い!子どもが家庭学習を嫌う理由
小学生の子どもにとって、学校が終わった後は自分らしく過ごせる自由な時間です。もちろん塾や習い事などを頑張る子も多いですが、少なくとも家に帰ってきた後はできる限り自由に、気ままに過ごしたいものです。
ここでは、小学生の子どもが家庭での自主勉強を嫌う理由についてご紹介します。子どもの勉強スタイルによっては、学校から教科書すらも持ち帰らない場合もあるでしょう。現状を改善するためには、子どもの心理と向き合うことが必要です。
何のために勉強するのかわからない
子どもが自主勉強を苦手とする背景には、勉強する理由がわからないことが考えられます。いい大学に入るため・将来困らないため・テストの成績を上げるため・人生をより楽しくするため……。勉強する理由はさまざまですが、小学生にとって心から理解するのは難しいものです。
「なぜいい大学に入らなくてはいけないの?」「学校の勉強が将来どのように役立つの?」などの解決できない疑問を抱えたままだと、勉強のモチベーションが下がります。親に叱られるからやるという状態になってしまい、学習意欲が湧かなくなるのです。
他の家の子どもが羨ましい
家庭での自主勉強に捉われずに自由に遊んでいる友達を見ると、羨ましさを感じてしまいます。もちろん、教育方針は家庭ごとに違うものです。小学生から塾や習い事に情熱を注ぐ家庭もあれば、好きなだけ自由に遊ばせる家庭もあります。方針は違えど、どちらの家庭も子どものことを大切に思っていることには変わりません。
しかし、子どもは身近な友達を見て「なぜ〇〇君はたくさん遊べて、自分はずっと勉強していなければならないの?」と不満や疑問を抱いてしまいます。勉強がつらければつらいほど遊びの時間が魅力的に思え、自由を謳歌している友達と自分を比べてストレスをためてしまうのです。
家庭学習よりも大切なことがある
子どもにとって家庭での自主勉強よりも大切なことがある場合、勉強への意欲が落ちてしまいます。例えば、友達と遊ぶ時間、部活、将来の夢への努力、ゲームや漫画などの娯楽を重要視している場合、なかなか自主勉強に前向きになれません。特に勉強に力を入れている家庭の子どもにとって、同年代の友達との時間は非常に魅力的に映るものです。
本人が家庭での自主勉強の目的や意義を理解できていない場合、ストレスは強まります。「自分も好きに時間を使いたいのに、なぜこんなこと(家庭学習)をしなければならないのか」という気持ちになり、親への不信感にもつながってしまうでしょう。
勉強自体に苦手意識を抱いている
子どもが勉強自体に苦手意識を抱いている場合、家庭での自主学習にも支障が生じます。小学生になると、少しずつ得意教科と苦手教科の差が生まれてきます。「得意なものは楽しいけれど、苦手なものはつまらない」と感じるのは大人も同じですよね。
苦手教科と向き合っている時間が長いとストレスがたまり、勉強内容をなかなか理解できない自分のことも嫌いになってしまいがちです。克服できない時期が続くと勉強自体をストレスの原因として認識し、手を付ける前から「やりたくない」と思ってしまうのでしょう。
勉強するほどコンプレックスを感じてしまう
勉強が苦手な子どもにとっては、勉強自体が自分のコンプレックスを強くする行為となります。同じ授業を受け、同じ宿題をしているはずなのに同級生と成績の差が開いてしまう。みんなが理解できていることが、自分には理解できない……。
小学生の子どもにとって、学校と家庭は世界のすべてといっても過言ではありません。そのどちらでもコンプレックスの原因である勉強を強制されると、どんどん自己肯定感が失われてしまいます。「せめて家庭は安らげる場所であってほしい」という思いが、家庭での自主勉強を避ける原因になるのです。
子どもが自主勉強するようになる魔法の言葉6選
小学生の子どもが家で勉強しない姿を見ると、親としては不安を感じますよね。自主勉強は子どもが自由に行える内容のため、それすら手を付けてくれないとなると「本当に勉強が嫌いなんだ……」と親が落ち込んでしまうこともあるでしょう。
ここでは、子どもが自主勉強するようになる声かけの仕方についてご紹介します。子どもが自主勉強を避けるのには必ず理由があるものです。子どもの心理に寄り添いながら、安心感を与えられる声かけを心がけてくださいね。
今日は〇〇と△△のどっちをやる?
子どもに自主勉強を促すためには、学習の内容を2種類用意し、子どもに選ばせる手法をとってみましょう。例えば「勉強しなさい」という声かけでは、子どもには「勉強するか・しないか」の選択肢が与えられます。その結果、「勉強しない」を選んでしまいがちな子どもは多いものです。
しかし「今日は国語と算数のどっちをやる?」という風に声かけをすれば、子どもには「国語の勉強をするか・算数の勉強をするか」の選択肢が与えられます。二者択一させるこの方法は、心理学ではダブルバインドと呼ばれます。ぜひ家庭でも取り入れてみてくださいね。
今日は〇分まで頑張ってみよう
小学生の子どもにとって勉強がストレスに感じる理由の一つに、ゴールや目標が見えないことが挙げられます。苦しい作業を延々と続けるのはつらく、途中で投げ出したくなってしまうのでしょう。そこで「今日は〇分まで頑張ってみよう」と声かけをする方法をおすすめします。
数値化された明確な目標を与えられると「そこまでなら頑張ろう」という気持ちが生まれやすくなります。最初から長い時間を設定するのではなく、30分(長ければ15分)のように子どもの負担が少ない時間から始めましょう。まずは、勉強の習慣をつけることが大切なのです。
お母さん(お父さん)は〇〇の勉強をするね
子どもにとって最も身近な大人であり、生活のお手本となるのが親の存在です。勉強にストレスを感じている子どもは、内心で「お父さんやお母さんは勉強しなくていいな」「なんで自分だけ勉強しなければならないのだろう」などと思っている可能性があります。
親が先立ってお手本を見せることで、すんなりと机に向かってくれる可能性があります。「今日はお母さん(お父さん)は〇〇の勉強をするから、一緒に頑張ろう」と声かけをすることで、自主勉強における孤独感が和らぎ主体性を持ちやすくなることでしょう。
今日も頑張っているね
「今日も頑張っているね」は、子どものモチベーションを高める定番の声かけの一つです。子どもが勉強しなくてはならないという事実は、本人たちも内心では理解しています。しかし、時には周りから求められる「当たり前」をやっていても「褒められたい・評価されたい」と思うものです。
親が声かけを通して「頑張っている君のことをいつも見ているよ」と伝えることで、子どものやる気はアップします。親から見てもらえている、頑張りを評価されていると信じられることで、自尊心も高まっていくことでしょう。
前よりも難しい部分をやっているね
子どもの頑張りだけではなく、学習内容にまで注目していることを伝えられれば、さらに勉強のモチベーションにつながります。親も仕事や家事に忙しいことかと思いますが、ぜひ子どもの進捗内容にも目を向けてあげましょう。
今子どもが何を学び、何を得意としつまずいているのか。それらを親が理解することがベストな声かけを生みます。子どもの成長過程をリアルタイムで把握し、成長自体を褒めてあげるといいでしょう。子どもは「ちゃんと自分のことを見てくれているんだ」と思えるため、勉強へのやる気や安心感、情緒の安定につながります。