子どもの思考力を高めたい!保護者ができることは何?

昨今、学校教育で思考力が重視されています。保護者もまた「子どもの思考力を高めなくては」と感じ、親としてできることは何か考えるようになりました。

ただ、保護者のなかには「そもそも思考力って何?」といった疑問をもつ方もいるでしょう。思考力は、予測不可能な時代に必要不可欠な能力です。つまり既存の知識を活用しながら、見えないものを可視化したり新たなアイデアを創出したりする力といえるでしょう。

本記事ではまず、思考力の概略を丁寧に説明し、続いて思考力のある子どもの特徴や将来に活かせるメリットを紹介します。後半で思考力の育て方について解説しますので、ぜひ通してお読みください。

思考力の意味とは

思考力とは、簡単にいえば知識の断片をつなぐことを指します。たとえば思考力のある人は、課題に対して「自分がもっている知識の何をどのように組み合わせて解決できるか」と思考します。

これまでの教育は「何を知っているか」が重視され、知識をどれほどもっているかで評価されていました。しかし人間が知識をストックできても、ビッグデータにはかないません。

今後は、AIから得られる情報を整理し、必要なものを精査して課題を解決したり、よりよいものを創り出す力が必要になるのです。

このように「知識を活用して何ができるか」と考える力が思考力といえるでしょう。AI時代に人間が活路を見いだすには思考力が絶対必要なのです。

考える能力が高い子どもの特徴


最初にお伝えしますが、テストの成績が良い子どもであっても「思考力が高い」とはいえません。

たとえば次のような子どもがいるとしましょう。

  • テストの点数が常に良くても物事の伝え方が断片的な子ども
  • テストの点数に波があっても考えをわかりやすく伝えられる子ども

実は後者の方が思考力が育っているといえます。テストの点数だけで思考力を判断するのではなく、多面的な見方で子どもの思考力をとらえなければなりません。

これを踏まえて、思考力のある子どもの3つの特徴を解説します。

感情をコントロールできる

感情をコントロールできる子どもは、状況を冷静に判断し、相手の考えを推測する力が働いており、思考力が育っています。

逆に友達から何か言われてすぐに怒ってしまう子どもは、思考をあまり働かせていません。思考力があれば「どうして〇〇さんは▢▢というんだろう」と一旦立ち止まって違う視点で考察します。

物事を客観視できる子どもは「何とか解決しよう」と考えるため、思考力が高いといえるでしょう。

保護者や先生への質問が多い

保護者や先生へ「なぜ?」「どうして?」と質問する子どもは思考する力が育っています。

「なぜ?」「どうして?」などの疑問は対象物に関心をもっている証拠であり、既に自分と対象物をつなげています。この時点で思考を働かせているといえるでしょう。

つまり、自分に関係があり「その情報をもっと詳しく知りたい」と思うため質問や疑問が生まれるのです。質問は、対象物のつながりを認識しながら解決しようとする思考の表れといえるでしょう。

周りに流されず自分の意見を持っている

相手に毅然と自分の考えを伝えられるかについては性格によりますが、周囲に流されず自分の意見をもつ子どもは思考する力が育っています。

逆に思考する力が育っていなければ、大方の意見に左右され自分で判断して行動するのが難しくなるでしょう。

思考力があれば「〇〇さんは▢▢というけれど…だから違うと思う」のように筋道を立てて意見を述べます。根拠をもって自分の考えをまとめる子どもは思考力が高いといえるでしょう。

思考力が子どもの将来やビジネスに役立つ例


ここでは、子どもの将来やビジネスに思考力がどのように生かされるのか解説します。

思考力は、社会に出てからますます必要です。たとえば課題を解決したり物事を分析したりするときに活かせるでしょう。また、職場の人間関係づくりにも思考力が大切です。

その理由は、自分の考えを相手にわかりやすく伝えたり、相手の話を相手の立場になって理解したりする過程に「思考」が入るためです。

ここからは「あの人は思考力があるなあ」と感じる人をイメージしながら読んでみてください。

課題を解決するための発想力を発揮できる

課題解決に必要な要素を最適な形に作り上げるには思考力が必要です。思考のプロセスで、ふとアイデアが浮かぶかもしれません。つまり、思考力は発想力を発揮するための土台といえるでしょう。

しかし、思考力を駆使しても一人で解決できない場合もあります。子どものころには親や先生が守ってくれたとしても、大人になればなんとか自分で解決せねばなりません。

その際「〇〇さんに相談してみよう」「チームで策を練ろう」のように発想を転換するのも思考力によるところが大きいといえます。

顧客のニーズを的確に察知できる

ビジネスの現場で顧客の立場つまり相手目線になるには、物事を客観的にとらえる思考が必要です。

思考力があれば以下のような自問で顧客のニーズを的確に察知できます。

  • 顧客が本当に求めているものは何か
  • なぜ顧客はこの商品に興味をもつのか
  • 本音を引き出すトークはどのようなものか

こうした行動にはすべて思考が働いており、問い続けることでさらに思考力をアップできるでしょう。

社会や技術の変化に柔軟に対応できる

思考力があれば社会や技術の変化に柔軟に対応できます。逆に思考力がなければ、時代の変化に翻弄されるばかりで自分の立ち位置を確保できません。

将来、予想外の出来事が起こっても思考力があれば対処できます。理由は以下のとおりです。

  • 変化を客観視できるから
  • 問い続けられるから
  • 自分の考えをもっているから

たとえ予想外の出来事が起こっても、思考力があれば新たな方向性を見つけられます。

新しいサービスやアイデアを創造できる

新しいアイデアを創出できるのは思考力が高い人の特徴です。実は創造力と思考力は密接に関係しています。

たとえば課題に直面した際に、既存の方法で解決できない場合はあるでしょう。思考力が高ければ、自分と相手の立場を把握しながら双方にメリットがある行動をとれます。

多様で変化の著しいビジネスの世界において、新しいものを生み出す思考力の重要性は今後ますます高まるといえるでしょう。

職場の人間関係が円滑になる

思考力の高い人は、どの職場でも人間関係にストレスを感じることなく周囲と良好な関係を保てるでしょう。

思考力が高ければ、自分と相手の立場を把握しながら双方がメリットになる行動をとれます。その理由は、物事を客観視して自分の言動をコントロールできるためです。

思考力が低い場合は、相手の話を感情的に受け止めたり感じるままに言葉を発したりするかもしれません。これでは人間関係を円滑に築けないでしょう。

将来、職場で周囲の人と良好な関係を築けるように、子どものうちから少しずつ思考力を育てたいですね。