語彙力は、あらゆる仕事や生活のシーンで役立つ能力です。子供の頃から語彙力を育てることで、大人になっても役立つスキルを会得できます。今回は、子供の語彙力を鍛えるメリットや、語彙力を鍛える際のポイントなどをご紹介します。子供が楽しめる方法で文章に触れさせ、コミュニケーション能力や表現力を育んであげましょう。
文章や会話から感情を読み取る力がつく
子供の頃から語彙力を鍛えることで、文章や会話から感情を読み取る力が身に付くでしょう。
例えば、恋愛小説で好きな人から告白されたキャラクターが、長年の恋心が報われた嬉しさから涙を流したシーンがあるとします。このとき語彙力がある子供の場合は「恋心」や「報われる」、「嬉し涙」という言葉を知っているため、嬉しくて涙を流すキャラクターの感情を想像し、理解できる可能性が高まるでしょう。
しかし語彙力がない子供の目には、泣いているキャラクターが「好きな人に告白されて嬉しいはずなのに、なぜか泣いている人物」に映ります。本来喜ぶシーンなのに泣いているキャラクターを見て混乱してしまい、創作物が与えたかった感動を学べないのです。
自分の思いを伝えやすくなる
語彙力を鍛えることで、子供が自分の思いを伝えやすくなります。例えば「お腹が空いたのに、夕ご飯の前だからおやつを食べさせてもらえなくてイライラする」という感情を持った子供がいたとします。
語彙力が高ければ、「夕ご飯もちゃんと食べるから、少しだけおやつが欲しい」と保護者に交渉できるでしょう。「おやつが欲しいのに食べられないから悲しい」と素直に気持ちを表現することも可能です。結果的におやつはもらえなかったとしても、正しく自分の気持ちを伝えられたという一種の満足感も得られます。
しかし語彙力がないと気持ちを伝えられず、イライラや悲しみの感情に支配されるしかありません。感情を表現する言葉がないため「やだ!」という言葉でしか気持ちを伝えられないこともあるでしょう。子供の語彙力を鍛えることは、親子のコミュニケーションを正確にするための手段でもあるのです。
表現力が豊かになり、学力向上につながる
子供の語彙力を鍛えることで表現力が豊かになり、学力向上につながることが期待できます。知っている言葉の数や表現方法が増えれば、先生の話している内容も理解しやすくなり、質問の幅も広がるでしょう。
語彙力不足により自分の気持ちを表現できないと、思考の幅が狭くなってしまいがちです。例えば算数で公式を覚えることはできても、公式を応用する発想が持てずに行き詰まってしまうことも。語彙力が高まることで、さまざまな可能性を考慮できる子供に育ちます。
子供の語彙力を鍛える方法・ポイント
ここからは、子供の語彙力を鍛えるために取り入れたい方法やポイントなどについてご紹介します。子供は、学校での授業や友達とのコミュニケーションで自然に言葉を覚えてきます。だからこそ、保護者が環境を整えてあげることで語彙力がさらに伸びるのです。
最近の言葉・表現を使わない
子供の語彙力を鍛えるためには、最近の言葉や表現を使わないことを心がけましょう。例えば「やばい」や「エモい」などは、嬉しい・悲しい・苛立つ・寂しい・感動したなどのさまざまな感情を、一つの言葉に凝縮した表現です。
時代によって生まれた流行の言葉自体を否定する必要はありませんが、もし子供が「やばい」や「エモい」という言葉を使った場合は「それって、もっと細かくいうとどんな感情?」と聞き返す習慣をつけましょう。子供自身が感情の深掘りを放棄しないように、親がフォローしてあげることが大切です。
わからない言葉を調べさせる習慣をつける
子供の語彙力を鍛えるためには、わからない言葉をすぐに調べさせる習慣をつけることをおすすめします。わからない言葉をわからないままにしていては、語彙力が伸びるのが遅れてしまいます。また、自分の力で辞書を使って調べた言葉は、自然に覚えた言葉よりも忘れづらくなるものです。
スマホを使っても構わないので、子供にわからない言葉をメモするよう声をかけてみましょう。「お母さん(お父さん)、〇〇ってどういう意味?」と聞かれたら、すぐに教えるのではなく一緒に調べると覚えやすくなります。
語彙力がアップするアプリで勉強する時間を作る
子供の語彙力を鍛えるためには、子供自身が楽しんで覚えられる方法がおすすめです。特にゲーム感覚で語彙力アップを図れるアプリは、子供が能動的に学習してくれるため高い効果が期待できます。
おすすめは、四択の選択肢から選ぶゲームや、しりとり形式で言葉を入力しオンラインで対戦するアプリなどです。しりとり形式のゲームは、相手が自分の知らない言葉を返してくれる点が大きな魅力です。また、対戦後に自分が使った言葉を見返せる機能もあり、頻繁に使いがちな言葉なども確認できます。
読書する習慣をつける
短時間で多くの語彙力を身に付けられる方法として挙げられるのが、読書です。児童向け小説やライトノベルなどで構いませんので、単語や文章に触れる習慣を取り入れていきましょう。
しかし、子供に一方的に「本を読みなさい」と言ってもなかなか聞き入れてくれないものです。強制的に本を読ませても学びになりづらく、新しい語彙もなかなか増えません。そこでおすすめなのが、親子で読書する時間を設けることです。保護者も一緒に本を読むことでコミュニケーションのきっかけにもなり、子供の成長に気づきやすくなります。一日5分からでもいいので、親子の読書習慣を始めてみましょう。