子供の頃からITやWebのスキルを学ぶことで、将来的に職業の選択肢が広がります。今回は、子供向けのプログラミング学習のメリットや、プログラミングスキルが活かせる仕事などをご紹介します。保護者自身がプログラミングスキル習得の目的を持つことで、子供のプログラミング学習はよりスムーズで能動的なものとなるでしょう。

プログラミングが必修化になった理由・背景とは?

2020年度から、文部科学省によって小学校でのプログラミング教育が必修化されました。国語や算数などの基本教科に、プログラミングを交えた教育方法が導入されたのです。

プログラミング教育の必修化の目的は、子供にプログラミング的思考を養ってもらうこと。プログラミング的思考とは、自分の夢や目的の実現のために一つひとつの情報や動きを組み合わせ、どのように合わせたり改善したりすれば実現できるのかを考えていく力を指します。つまり、情報と情報を組み合わせて考える論理的思考力のことです。

プログラミング的思考を養うことで、問題を最適な方法で解決するためのスキルが子供のうちから身につきます。また、目的から筋道を立てて手段を考える一般的な論理的思考力と、プログラミング的思考が合わさることで、より高い問題解決能力を発揮できるようになります。 インターネットや無線LANの通信環境・ICT環境の整備などの課題はまだ残っていますが、情報活用能力を高めることが求められている昨今では、プログラミング教育の必修化は必然であったと考えられるでしょう。

参考:文部科学省「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」

未来の可能性を広げる『21世紀スキル』の重要性

「21世紀スキル」という言葉をご存知でしょうか。これは国際団体である「ATC21s(Assessment and Teaching of 21st Century Skills=21世紀型スキル効果測定プロジェクト)」が提唱した能力で、子供が21世紀以降のグローバル社会を生き抜くために必要なスキルのことです。 21世紀スキルは、大きく分けて以下の4つの能力に細分化されます。

  1. 思考の方法
  2. 働く方法
  3. 仕事のツール
  4. 世界の中で生きる方法

これらの能力は、創造力・イノベーション・批判的思考・問題解決・意思決定・コミュニケーション・チームワーク・情報リテラシーのスキルなど、さらに細かく設定されています。21世紀スキルを意識することで、時代の変化に対応していく能力や、知り得た知識を活用して新たな文明・知見を創造する能力などが子供に身につくでしょう。

子供にプログラミング学習が重要である理由

前述した21世紀スキルを身につけるために注目されている技能が、ほかでもないプログラミングです。

プログラミングスキルを学ぶことは、社会的な需要に応えられるだけではなく、論理的思考力や問題解決能力などのさまざまな能力を上昇させることにつながります。 業務上のスキルだけではなく、アイデアを形にする創造力やチームを成功に導くためのコミュニケーション能力、物事を効率化させるための想像力・発想力……。子供がプログラミングで身につけられるスキルは、21世紀スキルとの共通点が多いのです。

大人になってから学ぶより、子供の頃からプログラミングを学ぶ方が効果的?

何かを学び始めるのに年齢制限はありません。プログラミングも例外ではなく、大人になってからでも学び始める価値は十分にある技能です。

実際に、転職や時代の変化などをきっかけに成人後プログラミングを学び始めた人も多いでしょう。 しかし理想となるのは、子供の頃からプログラミングを学べる環境です。勉強の苦しみやストレスを感じ始める前の段階で楽しみながらプログラミングを学ぶことで、苦手意識を持ちづらくなります。

子供の年齢に合わせた教材を用いれば、低学年でも楽しくプログラミングを学べます。特に、教科ごとの苦手意識が明確になりやすい10歳頃までにプログラミングを学び始めることが望ましいといえるでしょう。

子供がプログラミングを学ぶことのメリット

今までプログラミングに触れたことがない世代や職種の保護者からすると、プログラミング教育と子供の能力がどのように結びつくのかがイメージしづらいかもしれませんね。ここからは、子供がプログラミングを学ぶことのメリットをご紹介します。プログラミングを学ぶ意義を保護者自身が理解し、子供を適切にサポートしていきましょう。

論理的思考・ロジカル思考を育める

子供がプログラミングを学ぶことで、論理的思考力やロジカル思考を育むことができます。この2つは、物事を体系的に整理して目的から手段を考え、矛盾のない状態で思考できる力を指します。感情に捉われず、問題を分解して要素ごとに分けた上で、結論や解決法を導き出す力です。 論理的思考力が高まることで、あらゆるシーンで適切な対応策を提案することができます。

世の中は不確定要素で成り立っているため、行動に起こしてみないとわからないことが多いものです。しかし、論理的思考力があれば問題の本質を捉えられるので、状況ごとの最善策を導くことにつながるのです。

想像力・創造力を育める

子供の頃からプログラミングを学ぶと、想像力や創造力が身につきます。プログラミングは定量化された「答え」が設けられているものと思われがちですが、実際にプログラミングする際には想像力を働かせなくてはなりません。 プログラミングで育まれる想像力とは、先の未来を見通す力です。関数の設計や前提条件を踏まえた上で、どのように組み立てれば正常に動作するのかを想像する力は重要です。

トラブルが起こった際も、仮説を立てて一つずつ原因を探る作業を行えるため、想像力は必須のスキルといえるでしょう。