グローバル化や小学校の英語必修化を背景に、中学受験の試験科目に英語を導入する学校が増えています。また、今後も中学受験に英語を導入する学校は増えると予想されます。まずは志望校の入試要項をしっかり確かめることが重要です。そのうえで、中学受験の英語対策について考えていきましょう。

今回は、中学受験を控える子どもをもつ保護者の方々に、英語入試の動向や入試に必要な英語スキルを身につける方法について解説します。

中学受験・入試で必要な英語スキルとは

中学受験・中学入試で必要な英語スキルは、志望校の入試傾向によって変わります。小学校で習う英語力(600字〜700字程度)で解けるレベルの問題を出す学校もあれば、読解力や作文力、会話力まで重視する学校もあるためさまざまです。

中学受験で必要な英語スキルを身につける際、ただ「英語を覚える」のではなく、総合的・客観的な視点で学ぶことが大切です。もちろん単語や熟語を覚え、品詞や5文型も確実に理解するのも必要でしょう。しかし、単語や熟語、文法を習得しただけでは、英語スキルは身につかないため、中学受験で結果を出せません。基礎知識を「どのように活用するか」が問われるのです。つまり、長文読解や英作文、会話力が求められるといえます。

またグローバル化の視点でいえば、日本の文化や歴史に関する知識、日本の伝統などを英語で表現する力も必要です。中学受験に必要な英語力は、持っているスキルを活かす力、つまりコンピテンシーなのです。

英語の入試問題で出題される範囲は?

中学受験で出題される英語レベルは、実用英語技能検定(英検)2級〜4級程度です。特進や国際コースであれば、高校レベル(英検準2級〜2級に相当)の英語力が必要ですが、中学受験では、3級または4級程度の学校が多いといわれています。

また受験校によっては、英語面接(集団・個人)があります。自己紹介や質問応答など、英語でのコミュニケーション能力を試されます。中学受験は高校・大学受験と同様に、英検のレベルと密接に関連しています。高位級の取得は特待生として合格する可能性もあるため、塾やスクールに通って英検と中学受験のダブル合格をねらう受験生もいるでしょう。

受験勉強や英会話は、いつから始めるべき?

受験勉強は、小学3年生から4年生頃に始めるのがいいといわれています。なぜなら、中学受験の出題範囲が広いからです。すべてをカバーするには早い段階から計画的に勉強を進めることが大切です。試験科目に英語がある場合、中学受験に向けた勉強を小学5年生から始めたのでは遅いかもしれません。「外国語活動」に慣れ親しむ中学年の段階で、見通しをもって勉強した方が英語力は向上します。

英語を早期に学び始めると「英語に対する抵抗感がなく、特有の発音やリズムが身につく」などの効果があります。ただ、無理強いは禁物です。中学受験に向けた勉強や英会話を始める前に、子どもの個性を見極めることが大切です。やる気と主体性を尊重しながら中学受験をサポートしましょう。

英会話・英語スキルを身につける方法・対策方法

ここでは、中学受験に向けて英会話・英語スキルを身につけるための5つの方法を解説します。

まず、中学受験の過去問題を入手し、入試レベルや出題傾向を把握しましょう。中学校によって傾向が異なるため、過去問題の分析は大きな意味があります。中学受験では筆記試験だけではなく、面接のある学校もあります。筆記試験の内容は、単語や文法の基礎的な問題から読解・作文・リスニングなどさまざまです。

中学受験は決まったけれど志望校が未定の場合も、読む・聞く・話す・書くの4技能をバランスよく習得しましょう。

英単語は毎日復習する

毎日復習するとは、記憶という引き出しを開けたり閉めたりする回数を増やすことです。インプットとアウトプットを何度も経験すれば、記憶の引き出しにストックされます。英単語を毎日復習する方法は、以下のとおりです。

  • 学んだ単語はその日のうちに書き出す
  • 単語を覚えるときは必ず声に出す
  • 覚えた単語を日常生活で使ってみる

英単語を覚える場合「意味を理解しつづりを覚えて書く」のが通常の方法ですが「覚える」というより「見る・聞く」回数を増やすイメージで、中学受験に向けた勉強のやる気をキープしましょう。

英文や文法の基礎を理解する

中学受験に必要な英文や文法の基礎力は以下のとおりです。

  • 品詞の意味が分かっている
  • 基本5文型を理解している

品詞とは、名詞、動詞、助動詞、形容詞、副詞、接続詞、前置詞、冠詞、間投詞です。基本5文型とは主語(S)動詞(V)補語(C)目的語(O)の4要素の語順です。品詞の意味や役割が分かっていれば5文型を理解しやすくなり、その逆もあります。

長文読解や英作文に必要なのは、英文や文法の基礎力ですから、教科書や中学受験用の問題集で確認することが重要です。