家庭内で両親の教育方針に相違が生じると、子供が混乱する原因になるだけではなく、保護者への不信感につながります。子供が自分らしい人生を納得して生きるためには、早い段階で家庭における教育方針を決めておくべきだといえるでしょう。今回は、家庭での教育方針を決めるための方法をご紹介します。子供の長所や短所を見極めながら、本人の意思を尊重できる教育方針について考えていきましょう。
子供の個性や才能を伸ばせる
家庭内で子供の教育方針を明確にすることで、子供の個性や才能を伸ばしやすくなります。
例えば、子供が幼少期から多くの才能を持っている場合、一方からは特定分野の学習ばかりを求められ、もう一方からはオールマイティーに学習することを求められると混乱してしまうことでしょう。夫婦間で教育方針を一本化することで、子供が持つ個性や才能を潰さずに育てられるのです。
また、夫婦間で同じ教育方針を持っていると、共通の目標のもとに子供の学習に役立つ情報を持ち寄れます。子供が家庭内で安心して学べる環境が生まれ、迷いがない状態で努力を重ねられるのです。
子供の個性や才能を潰したくない!
家庭内で子供の教育方針を決めることは、子供の健やかな成長において重要です。しかし保護者としては、「子供と相性の悪い教育方針を設定することで個性や才能を潰してしまうのでは」という不安を抱えてしまうこともあるでしょう。子供の個性や才能を伸ばすためには、本人の意思が尊重されていることが大切です。「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、子供自身が楽しんでいることや得意なことに真っ直ぐ進める家庭環境が、子供の才能を伸ばします。
「やりたい・極めたい・楽しみたい」という子供の気持ちを、自然な形で昇華するために必要なのが家庭内での教育方針の一貫性です。教育方針が明確であることで、子供は自信を持って自分らしい生き方を選べるようになります。教育方針とは、「これをやれ、あれはやるな」と子供の可能性を制限するものではありません。子供が安全な環境で自分らしさを発揮するために必要な、セーフティーラインでもあるのです。
家庭での教育方針を決める5の方法・ポイント
ここからは、家庭での教育方針を決めるための方法や、意識するべきポイントについてご紹介します。闇雲に保護者の理想を押し付けるのではなく、子供の個性や性格を尊重した上で決めていきましょう。
最終的な目標を決める
家庭で子供の教育方針を決める際は、最初に最終的な目標を設定しておくことをおすすめします。目標がない状態で教育方針の案を出してしまうと、「結局どのような大人になってほしいのか」が曖昧になり、子供を混乱させてしまいます。
表面的な教育ではなく精神的に一歩ずつ成長できる学びを与えるためにも、明確な目標を決めましょう。最終的な目標がハッキリしていれば、子供の教育のために不足している要素や現状維持するべき要素などがわかります。
目標を決める大きな理由は、子育てに必要なプロセスを判断するためです。家庭内で目標がシェアされることで、子供は安心して学習に取り組めます。また、目標がある上で教育方針を決めると子供が「自分がどう成長するべきか」を理解できるため、情緒の安定にもつながるでしょう。
夫婦で共通の指針を持つ
家庭で教育方針を決めるためには、夫婦で共通の指針を持つことが大切です。例えば一方が「誰にでも優しく思いやりがある子に育ってほしい」と思っていても、もう一方が「闘争心や競争心が強い大人になってほしい」と思っていた場合、家庭内での教育方針が一致しづらくなるでしょう。
夫婦で教育の指針が違うと子供が混乱するだけではなく、矛盾した物言いをする保護者に対して尊敬の意識が低くなってしまいます。保護者を尊敬できない子供に、教育方針を伝えようとしても難しいものです。
夫婦間でお互いの価値観のぶつけ合いになってしまう場合は、どちらかが会話の主導権を握ることも大切です。相手の意見も聞き入れつつ、普段から子供と接する時間が長いほうの意見を優先したり、より子供の心情に寄り添った意見を尊重したりするなどして、教育方針の妥協点を探していきましょう。
子供の長所・短所を書き出す
家庭内で教育方針を決める際には、子供の長所や短所を書き出す方法をおすすめします。社会で生きていく上でどうしても外せない要素でない限りは、子供の苦手な部分を無理やり伸ばす必要はないケースも多いものです。
短所に焦点を当てると子供を叱る回数が増え、自己肯定感が下がりがちに。反対に、長所を伸ばす教育方針を設定することで子供を褒める機会が増えます。自分を認めてもらえる実感を持てた子供は自己肯定感が上がり、挑戦意欲やコミュニケーション能力などが上昇していくでしょう。
子供の長所を明確に見極めるためには、子供を観察するだけではなく特徴を視覚化させることが重要になります。家庭内で話し合いをしやすくするためにも紙に書き、わかりやすい形で思考を共有していきましょう。
子供の将来の夢や目標を組み込む
家庭内で子供の教育方針を決めるときには、子供自身が抱いている夢や目標を組み込むことが大切です。例えば子供が「将来はメディアに出るような有名人になりたい」と思っているのにもかかわらず、保護者が「将来は社会に役に立つような人間になってほしい」という教育方針を持っていると、双方のビジョンが噛み合いません。
ただし、子供が抱えている夢は一過性のものであったり、夢の実現までのステップをイメージできていなかったりする可能性があります。本当に子供が求めているものは何かを見極めつつ、今抱えている夢を否定しない形での教育方針を家庭で共有しましょう。
具体的には、「有名人になりたい」という夢であれば、「目標のために努力できる人間になってほしい」や「世の中の変化に敏感に対応できる柔軟性を持ってほしい」などという教育方針にすることで、子供の夢を否定しない形での方向性を決められます。