これからの時代に求められる「21世紀型スキル」とは?

これからの予測困難な時代を生き抜くには「21世紀型スキル」が必要です。21世紀型スキルとは、国際団体ATC21s(Assessment and Teaching of 21st Century Skills)が提唱した、次代を創り出す人材が身につけるべきスキルを指します。

ATC21sの提唱内容をもとに、国立教育政策研究所は以下の3つの資質・能力を21世紀型スキルの構成要素としました。

  • 基礎力:言語・数量・情報に関する知識・技能
  • 思考力:課題発見、論理的思考力、問題解決能力
  • 実践力:他者と協力してよりよい社会を創り出す力

21世紀型スキルは思考力を中心に、思考力を支える基礎力と方向性を示す実践力の三層構造となっています。

 

21世紀型スキルを養うために有用な「STREAM教育」とは

21世紀を担う子どもたちが時代の変化に対応しつつ、次代を創り出すスキルを身につけるためにはSTREAM教育が有効です。

プログラミング教室でも取り入れられているSTREAM教育とは、以下の教育を意味します。

  • Science(科学)
  • Technology(技術)
  • Engineering(工学)
  • Mathematics(数学)
  • Arts(創造力・表現力)
  • Robot(ロボット)

 

Science(科学)

STREAM教育のScienceは主に、植物や動物・人体・元素・宇宙などの自然科学に関心をもち、実験や研究を通して知識の体系化を目指す教育を指します。

Science教育で環境に関する見識を深めることは、人間が自然との共存を図りながら進化するうえで重要な役割を担うといえるでしょう。また見えない課題を発見する力や、課題を解決するために必要な論理的思考力を養えます。

自然界の美しさやすばらしさに感動したり、人間の感性を育てたりすることにも必要な教育といえるでしょう。

 

Technology(技術)

Technology教育では、例えばプログラミング学習によって論理的思考力や課題解決力を育成します。

学校でプログラミング学習を受けたり、プログラミング教室に通ったりしてプログラミング的思考を身につけることは、効率的に課題を解決する力を伸ばすでしょう。またプログラミングスキルの習得によって、職業の選択肢を広げることにも役立ちます。

Technology教育でプログラミングを導入することは、Scienceにおける課題解決を可能にする思考力も養えるため、次代を担う子どもたちに欠かせません。

 

Robot(ロボット)

Robot教育とはロボット製作だけでなく、ロボットを活用して現実性(Reality)があるか評価する(Reviewing)力を育てる教育を指します。

つまり、ロボットが人間生活にメリットをもたらす現実性をしっかり把握し、製造したロボットが有効で有益なのか判断する力を養う必要があります。ロボットの得意分野と人間の知性や感性を使って、どのように未来を創り出していくのか考え実現させるために必要な教育といえるでしょう。

 

Engineering(工学)

Engineering教育は、ビジネスや産業で必要な生産性や空間認識能力などのスキルの育成に役立ちます。

生産性や効率性の向上にはITやAIの活用が必要なため、プログラミングスキルの習得が有効です。空間認識能力とは、自分自身や対象物の位置や動きなどを把握する能力を指し、ロボット工学に活用できるスキルといえるでしょう。

プログラミング教室で行われる学習として、小学生が自ら作成したプログラミングでロボットを作る取り組みなどが挙げられます。

 

Arts(創造力・表現力)

Arts教育では、イメ―ジを広げながら新しいアイデアを生み出す力を育てます。また、自分の考えや思いを他者に分かりやすく伝える表現力を鍛えることができます。

対象となる芸術の範囲は、図画工作や美術などの教科の範囲にとどまりません。創造力や表現力が発揮される分野は、演劇やダンス・写真・グラフィックアートなど幅広くあります。

今後、科学技術を発展させるにもアート的感覚は必要であり、Artsは科学技術との融合を図りながら人間生活に潤いを与える分野だといえるでしょう。

 

Mathematics(数学)

Mathematics教育は、算数や数学の公式をただ教えるのではなく、公式が生まれるまでの過程を順序立てて説明する論理的思考力を育てます。

数学的な考え方を養うことは、STREAMの各教育に役立つでしょう。科学的な事象の課題解決やプログラミングにおける試行錯誤のプロセスで、数字や数学的な考え方が必ず使われるためです。

またArtsを表現する際も、数学的美しさ(ギリシャのパルテノン神殿やオウムガイなどに見られる黄金比)に関する知識は欠かせません。

 

STEM教育からSTREAM教育になった背景

STREAM教育は最初から6つの教育を合わせたものではなく、前身はSTEM(科学・技術・工学・数学)教育でした。STEM教育は、国際競争力の低下を懸念したアメリカが、子どもの数理的な素養を養うために提唱した教育モデルです。

その後STEM教育だけでは足りないと判断され、創造力や表現力の育成するためにArts(芸術)を加えてSTEAM教育が生まれました。STREAM教育によって技術者を創造性豊かに育成したのち、アメリカはさらにRobot教育を加えます。

Robot教育を導入してSTREAM教育にしたのは、時代の変化に対応しつつ次代をよりよく創造する力が必要になったためです。進化し続けるAIやロボットに、人間がどう関わり共存していくのかが喫緊の課題になっているといえるでしょう。

 

STREAM教育で注目されているのが「プログラミング」

プログラミングはSTEM教育が提唱されたときから着目されており、STREAM教育になってさらに重要なポジションにあるといえるでしょう。予測困難な時代に向かう今、ロボット工学やシステム開発などに使われるプログラミング教育は小学生から必要な教育です。プログラミングを学ぶ目的は「コードが書けるようになる」だけではなく、プログラミング的思考の育成にもあります。

プログラミング的思考とは、必要な素材を集めたり組み合わせたりしながら、どうすれば意図した活動につなげられるのか考える力を指します。このような論理的思考力は、複雑化する社会における問題を解決する際に役立ち、STREAM教育のほかの分野でも重視される力といえるでしょう。

 

小学生からプログラミングを学ぶ6つのメリット

STREAM教育において重要な立ち位置にあるプログラミング。予測困難な時代を生き抜くためには、小学生からプログラミングに親しみスキルを身につける必要があるといえるでしょう。

ここでは、小学生から学校やプログラミング教室でスキルを学ぶ6つのメリットを具体的に解説します。

  1. 論理的思考力が身につく
  2. コミュニケーション能力が上がる
  3. 自分で目標を決める力が身につく
  4. 想像力や創造力が養われる
  5. 問題解決能力が上がる
  6. 職業選択やチャンスの幅が広がる

 

論理的思考力が身につく

小学生からプログラミングを学ぶと、論理的思考力が身につきます。自分が意図する動きをロボットにさせる場合、自分で素材(コード)を選んで順番に組み合わせるプロセスを学べるためです。

つまり、プログラミング自体が論理的思考力の宝庫といえるでしょう。目的を達成できないと分かれば原因の探究が必要です。組み立てたプログラムを見直して原因を突き止め、正しく動くためのプログラムを構築します。

目的を達成するまでの試行錯誤で、論理的思考力はさらに磨かれるでしょう。

 

コミュニケーション能力が上がる

プログラミングを学ぶことで、コミュニケーション力を向上させられます。プログラミングで論理的思考力を身につけることによって、自分の考えや思いを分かりやすく伝えられるためです。

例えばプログラミング教室で先生や友達に質問する際に、自分の疑問を相手に分かりやすく順序立てて説明できるでしょう。論理的思考力が育っていなければ、イライラした感情を吐き出すだけで終わってしまうかもしれません。

コミュニケーション力を向上させるためには、プログラミング教室での学習は効果があるといえるでしょう。

 

自分で目標を決める力が身につく

プログラミングを学ぶことによって、小学生のうちから自分で目標設定ができるようになります。

プログラミングでは、例えば「ロボットに〇〇させたい」のように目標がはっきりしているため、目標を実現できるプログラミング用語や手順など最適なものを選べます。プログラミングで課題にぶつかれば新たな目標を設定したり、課題解決に必要な方法を探ったりできるでしょう。

常に主体性を維持できる点が、プログラミングのメリットです。

 

想像力や創造力が養われる

想像力や創造力は、小学生がプログラミングを学びながら身につけられるスキルといえます。

例えば、小学生がロボットに歩かせることを目的にプログラミングしてうまく動かせたとしましょう。今度は「ダンスをさせたい」「歌も歌わせたい」など次々とアイデアが生まれるかもしれません。

小学生のうちからアイデアを出したり、試行錯誤したりする楽しさを感じるようになるでしょう。このように「もっと〇〇してみたい」「〇〇を▢▢にしたらどうだろう」など想像力や創造力が養われます。

 

問題解決能力が上がる

プログラミングはアイデアを具現化するためにコードや手順を考え実行する作業であり、小学生からプログラミングを学べば問題解決能力を養えます。

問題を見つけて改善したり解決したりするためには「問題は何か」「何をどうしたら解決するのか」と問い続ける姿勢が必要です。うまくいかなければ仮説を立て直し、新たな方法で試します。試行錯誤の過程で問題解決能力が向上し、新たな問題に直面しても効率的に解決できるようになるでしょう。

 

職業選択やチャンスの幅が広がる

小学生のうちから職業の選択肢やキャリアアップのチャンスが広がることは、プログラミングを学ぶメリットといえます。

IT化にともないプログラマーの需要は非常に高まっているため、プログラミングスキルは就職の際に役立ちます。あるいは、副業や起業でスキルを活用するチャンスに恵まれるでしょう。予測不可能な時代であるからこそ、プログラミングは小学生から身につけたいスキルといえるのです。