子どもがICT教育を受ける9つのメリット
ICT教育がもたらす効果は、単にデジタル機器が扱えるようになるだけでなく、デジタル機器の活用を通して多様な見方や考え方、21世紀型スキルを身につけられる点にあります。
子どもがICTのスキルを身につければ、自分の可能性を拓くことが可能なのです。ここでは、子どもがICT教育を受けるメリットとして、9つの項目を紹介します。
作業の時間短縮になり生産性がアップする
子どもがICT教育を受けデジタル機器を自在に取り扱えるようになると、学習や作業の短縮につながり生産性が向上します。
たとえば、調べ学習をしレポートを作成する場合、図鑑や書籍を探してノートに書き出したものを別の紙にまとめる方法では、すぐに終わらせられないものです。
しかしICTスキルがあれば、キーワード検索で必要な情報だけを探したり、活用できる情報をピックアップしてWordなどにすばやくまとめたりできるでしょう。複製や削除、推敲も簡単なため、効率的にレポートを作成できます。
情報を適切に活用できる
ICT教育のおかげで、子どもは情報を適切に活用できるようになります。情報は多岐にわたり、やみくもに数さえ集めればいいというものではありません。
膨大な情報から自分にとって必要な情報は何かを見極め、その信ぴょう性について確かめられるICTスキルを身につけると、情報の活用力だけでなく分析力も養えるでしょう。
ICT教育によって、情報に流されたりフェイクニュースに翻弄されたりせず、正しく情報を活用できる人になれるのです。
問題解決能力が高まる
ICT教育は、下記の2点の学習において、問題解決能力を向上させるのに役立ちます。
- 個別学習(個人の興味や理解度に合う学習)
- グループ学習(対話を通して学びを深める学習)
ICT機器を用いれば子どもの興味や進度に合う学習が可能なため、間違えた問題をやり直したり既に学んだ単元に戻ったりすることが可能です。したがって、個別学習においては自分で問題を解決する力を効率よく身につけられるでしょう。
また、インターネットはさまざまな情報を集めたり、オンラインで多様な考えの人々と話し合ったりすることも可能とします。そのため、グループ学習においては新たな視点が得られたり、対話をしながら問題を解決したりすることにつながると考えられます。
幅広い情報から「自分らしさ」を獲得できる
ICT教育には、多種多様な情報のなかから「自分らしさ」を獲得できるメリットがあります。自分らしさを獲得するとは、自分の興味に目を向けてしたいように行動することを指します。
子どもは比較的狭いゾーンの中で生活していますが、ICT教育の推進により、日本各地や世界のあらゆる情報を幅広く得られるでしょう。
ICT教育を通して、自分の興味を掘り下げたり自分の夢を実現させるための情報を獲得したりできるため、「自分らしさ」の追求につながるのです。
オンラインコミュニケーションが上達する
子どもたちはICT教育を通して、これからの社会で生きるために必要なスキルであるコミュニケーション力を身につけられます。その理由は、デジタル機器を用いたコミュニケーション方法の必要性が増しているためです。
ICTの環境が整えば、日本に留まらず世界各国の人々と自由に交流できます。SNSだけでなくzoomやGoogleMeetなどのツールでもオンラインコミュニケーションが行われている現代のため、子どもたちにIT知識は欠かせません。
ICT教育を通して円滑なコミュニケーションをするための環境を整えたり、リスクを回避しながら人々と良好な関係性を保ったりできることは、大きなメリットになるといえるでしょう。
ITリテラシーを身につけられる
ITリテラシーとは、情報を取捨選択したり適切に活用したりする能力を指します。21世紀型スキルの一つとして重視され、未来を生きる子どもに必要な力だといえるでしょう。
昨今では、インターネットの普及によって有害サイトやSNSの悪用などを通じた犯罪が問題になっています。トラブルを招かないようにするには、インターネットの正しい使い方を知り情報を取捨選択する力が必要なのです。
ICT教育にてITリテラシーを身につけると、子どもが自分で判断してリスクを回避することへとつながっていくでしょう。
効率的に学習できる
デジタル機器とインターネット環境が整備されICT教育が進められれば、子どもは自分の力で問題を選択し自分で学習する力を身につけられます。タブレット端末やパソコンなどを駆使して簡単に調べ学習ができるようにもなるので、学習の効率がどんどん上がっていくことでしょう。
また、一斉学習に比べると効率的に個人の学力を向上させられるため、子どもの長所を伸ばすことにもつながります。
授業内容が今以上にわかりやすくなる
パソコンやタブレット端末、インターネット環境などが整いICT教育が進むと、授業内容がわかりやすくなるものです。
その理由は、教科書だけでは理解しにくい内容も、映像や音声、Webサイトなどを活用したICT教育で理解しやすくなるためだと考えられます。たとえば、タブレット上で図形を実際に動かして理解を深めたり、気象の変化や仕組みを映像で確認したりすることなどができるでしょう。
学習に対する関心を高めながら理解を深めるのに役立つICT教育は、今後もますます必要性が高まっていくとされています。
子どもがICT教育を受けるデメリット・注意点
スマートフォンやパソコン、タブレットなどのデジタル機器はいつでも欲しい情報を入手できるため、子どもの興味を引きやすい媒体といえます。
しかし、使いすぎによる視力低下や生活リズムの乱れなど、問題やデメリットがあるのも事実です。ここでは、子どもがICT教育を受けるデメリットや注意点などに関して解説します。
インターネット上の娯楽要素に誘惑されやすい
子どもがICT教育を受けるデメリットとして挙げられるのは、娯楽情報に誘惑されやすい点です。学習しているかと思えば、ゲームアプリで遊んだり有害なサイトを閲覧したりしているかもしれません。
ICT教育を行う場合は、事前に「関係のないアプリで遊ばない」「必要のないページを見ない」など、親子で約束する必要があります。
ただし、必要以上に制限をかければITリテラシーを身につけられないため、あらかじめインターネット利用にフィルターをかけたりアプリのアンインストールをしたりするなど、適切な対策をするようにしましょう。
誤った情報を信じてしまう可能性がある
子どもが誤った情報を信じてしまう可能性がある点も、ICT教育を進めるにあたっての注意点です。
情報のなかには、物事を大げさに伝えたりデータに基づかない数字を挙げたりする内容のものもあるでしょう。安易に信じてしまったり拡散したりするようなことになれば、トラブルを招くかもしれません。
良くも悪くも心を動かされる情報については、情報元を確認したり自分で調べ直したりするなどの対応策を教える必要があります。
保護者が学習をサポートできない場合がある
学校でパソコンやインターネットの使い方を教わり学習アプリで学ぶ機会が増えるごとに、子どもたちのICTスキルは向上していきます。したがって、保護者が子どもの学習速度についていけない場合、適切なサポートをしにくい状況が生まれるでしょう。
子どもが機器の取り扱いに慣れず困っている際に、ICTに関する知識や技能のある保護者なら対応できますが、苦手な人の場合親子で立ち往生してしまう可能性があります。ICT教育を推進する際は、保護者のフォローアップも視野に入れたいところです。
自分で考える力が低下する可能性がある
インターネットですぐに調べられるのは便利なものですが、検索をかけてすぐに答えがわかる状態が続けば、子どもの学力は低下するかもしれません。
これは電卓で計算するケースと同様です。たとえば、アナログ的に計算する場合は、計算の過程を順序立てて考え粘り強く解く姿勢が必要になります。しかし、電卓を用いれば考える場面を飛ばして簡単に答えを出してしまうでしょう。
ICT教育の落とし穴がここにあるといえるため、調べる際も自分で考える場を意識的に取り入れ、思考力が低下しないようにする必要があります。
「自ら書く力」が低下する可能性がある
デジタル機器の取り扱いに慣れると、キーボードで簡単に文章を打ち込めるため、自分で書く機会がおのずと減るでしょう。
たとえばひらがなを漢字に変換してくれたり、スペルや文法の間違いを教えてくれたりするため、漢字や文章を正しく書く力が低下する可能性があります。
ICT教育を実施する場合は、デジタルとアナログ的な要素をバランスよく保ち、日常のなかで書く時間を設定するようにするといいでしょう。