子育てがつらい…育児の悩みを共有したい…

「子育ての本を読んで実践しても、なかなかうまくいかない」
「子育ての悩みを本音で相談できる人が、まわりにいない」

このように「子育てがつらい」と感じるのは、父親よりも母親に多い傾向です。文部科学省が委託した調査(※)によれば、子育てに不安を感じる女性は全体の約8割を占め、男性よりも14.6ポイントも高くなっています。

※『令和2年度家庭教育の総合的推進に関する調査研究~家庭教育支援の充実に向けた保護者の意識に関する実態把握調査~報告書』より

子育ての悩みを抱え込んでしまいそうなときは、誰かに話をするだけでも心が少し軽くなります。ただし、身近に相談者がいなければ、精神的に追い詰められてしまうかもしれません。

子育てのつらさを軽減させるためには、悩みを共有できる環境づくりが大切です。

そこで今回は、保護者が抱えやすい子育ての悩みを取り上げるとともに対処法を解説します。悩みから解放されて前に進むためのヒントを得られますので、ぜひ最後までお読みください。

育児でよくある悩み9選

ここでは、育児でよくある悩みとして9つ紹介します。先ほど紹介した調査結果によれば、女性の悩みでもっとも多かったのは「子どもの生活習慣の乱れ」に関する内容でした。ちなみに、男性のトップは「しつけの仕方がわからない」といったものです。

調査で挙げられたほかの悩みは以下のとおりです。

  • 子どもの健康や発達に関する悩み
  • 子どもの気持ちがわからない
  • 子どもとの接し方がわからない
  • 忙しい時に面倒を見てくれる人がいない
  • 子育てするうえで経済的に厳しい

今回はこれらの悩みを9つに分類して具体的に解説します。

子どもの気持ちがわからない

父親と母親ともに約3割が「子どもの気持ちがわからない」と悩んでいます。

とくに小学校高学年の子どもは思春期にさしかかっている時期でもあり、なかなか子どもから話をしてくれません。また、保護者が話を聞こうとすれば「やっぱりいい、なんでもない」と話を止めてしまう場合もあるでしょう。

「いったい何を考えているのだろう」と心配になり子どもに聞こうとしても拒否されるため、保護者はどんどん悩みをため込んでしまうのです。

教育費や養育費など金銭的な不安がある

子育てには教育費や養育費など多くのお金がかかります。教育費は学校の入学金や授業料、塾代などが該当し、養育費とは一般的に子どもが社会的に自立するまでにかかる費用を指します。

トータルで考えると一人約2000万円となり、幼稚園から大学まですべて私立に通うとなればさらに多くの費用がかかるでしょう。

このため子育て中の保護者は、現在や将来に対していつも不安を抱えるケースが多いといえるのです。

ワンオペ育児で「味方がいない」と思ってしまう

ワンオペ育児とは配偶者の単身赴任や残業などの理由で、夫婦の一方に家事や子育ての負担がかかっている状態を指します。

理想的な子育ては、夫婦が協力することでしょう。しかし、日中だけではなく夜中も母親のみのワンオペ育児だと、精神的に参ってしまいます。また、ワンオペ育児では銀行や役所などの用事を済ますのも困難でしょう。

頼る人が近くにおらず育児の悩みを相談する相手もいなければ、悩みを一人で抱えてしまうことになるのです。

 

心に余裕がなく、つい強い言葉で叱ってしまう

さまざまな悩みを抱えつつ一人で育児をこなす状況が続けば、ときに子どもを叱りつけてしまうかもしれません。イライラの原因がわかっても改善のめどが立たないこともあります。

この場合、身近に相談相手がいれば自分自身や物事を客観視してもらえ、対処法も見つかりやすいかも。

しかし、悩みを打ち明ける人がいない場合はストレスが大きくなり、子どもにあたる回数が増える可能性があります。

 

周りの子どもと成長の具合を比べてしまう

子育てに対してネガティブな感情を抱いているほど、ほかの子どもと自分の子どもを比べてしまいがちです。周りの子どもが順調に育っていると感じれば、余計に「うちの子はどうしてダメなんだろう」と思い始めるでしょう。

ほかの子どもと比べる姿勢は、わが子を認める機会を逃してしまい、良さに気づけないかもしれません。

子どものできない点ばかりが気になり「発達が遅れているのか」「私の子育てが良くないのか」など、悩みばかりが増えてしまいます。

子育ての理想と現実の乖離がつらい

ほかの子どもと自分の子どもを比べて悩むのと同様に、子育ての理想と現実の乖離がつらくなってしまう場合があります。

その理由は、基準をわが子以外のものに定めてしまうためです。「ほかの子ども」や「保護者の理想」を基準にすると、わが子は蚊帳の外に置かれてしまいます。

保護者の見方を変えない限り悩みからは解放されません。自分の理想を子どもに押し付けず、子どものありのままを認めるようにすると少しずつ悩みが小さくなるでしょう。

自分の時間が持てない・リフレッシュできない

とくにワンオペ育児で生活している場合、自分の時間を持つのは本当に困難です。自分の時間が持てないと、ストレスがたまっていても発散できません。リフレッシュできないまままま育児を続ければ、子どもを叱りつけてしまうかも。

つまり、身近に頼れる人がいない場合はまったく自分の時間が持てず、悩みを抱えたまま生活することになるのです。

逆に子どもが就寝してから配偶者に話したりプライベートな時間を持てたりすれば、明朝に笑顔を取り戻せます。ときには自分磨きをしてリフレッシュすることが大切です。

仕事と子育てが両立できない

昨今、結婚や出産を経て働き続ける女性が多く、仕事と子育てを両立する人も増えています。しかし、家事や子育ての負担が女性にかかる現状では、母親の気持ちになかなかゆとりが生まれません。

仕事が忙しいときに子どもが熱を出せば、会社を休まなければいけません。後日、休んだ分の仕事をこなして事なきを得たとしても、周囲の理解が得られず子育ての負担が大きくなれば、仕事と子育ての両立は難しくなるでしょう。

子どもの食育が難しい

子どものなかには好き嫌いがはっきりしていて、嫌いなものは絶対食べない子どもがいます。また食事のマナーがなかなか身につかない場合、保護者は子どもをついつい叱ってしまいがち。

「子どもが健やかに成長しきちんとした作法で食べてもらいたい」と願うほど、子どもの様子を見ていらだってしまうでしょう。加えて「赤ちゃんのころの離乳食が良くなかったのか」と振り返っては反省して余計に落ち込むケースも考えられます。

「子どもが元気なら適当でいい」と言われても、ボーダーラインがわからない…

「子どもが元気なら適当でいい」といわれても、すべて子ども任せにしては子どもに悪影響を及ぼしかねません。

子どもに対する悪影響を回避するには、守るべきルールがあることを子どもに教えるなどボーダーラインを引く必要があります。

ボーダーラインを引く場合は子どもとルールを共有し、以下のようにルールを設定しましょう。

  • 挨拶をしっかりする
  • 食事のときは好き嫌いなく食べる
  • 家族の一員としてお手伝いをする

これらは保護者の一方的な要求としてではなく、子どもと話し合い内容を具体的に理解させることが大切です。ほかの点について保護者は見守る姿勢を保ち、子どもに自ら考え行動する機会を多く与えるように努めましょう。