子どもが小学校に入学する…月々の費用はどれくらいかかるの?
子どもが小学校に入学すると、さまざまな費用が発生します。学校生活に必要な費用はもちろん、私立では授業料がかかったり、部活や学校外での活動費用が発生したりすることも。入学前から費用の全体像を把握することで、家計のやり繰りの目途を立てやすくなります。
家庭によっては習い事や塾などにも費用が発生するでしょう。特に中学受験を検討している場合は、小学校低学年の頃から学校以外での学習にも力を入れていきたいですよね。低学年から塾に入会しておかないと、高学年になって「進学塾の席がない」という事態になりかねません。
今回は、小学校にかかる費用について詳しくご紹介します。地域や学校によって費用は変わるため、生活のスケジュールを組むための目安として活用してください。小学校の費用についての知識をあらかじめ調べ、安心して将来設計を立てていきましょう。
※記事内のデータは、文部科学省のアンケートを用いた参考の数値です。より詳細なデータは、地域のホームページや通学先の小学校の資料などを参考にしてください。
小学校の学費の内訳
ここでは、小学校でかかる費用の内訳をご紹介します。人生は何が起こるかわかりません。突然家族が大きな病気を患ってしまったり、減給したりする可能性もあります。小学校の費用を把握した上で、計画的に貯金したり運用したりしましょう。
学校教育費
学校教育費とは、小学校で基本的な学習を受けるために必要な費用です。文部科学省によると、学校教育費には、おもに以下の費用が含まれています。
- 学用品費
- 実習材料
- 図書費
- 学校納付金
- 修学旅行費
- 通学関係費
- 教科外活動費
上記以外にも、遠足費や教員の見学費、入学検定料、PTA会費、体育用品などが含まれます。例えば家庭科の調理実習で使う食材や、理科の実験で使うための材料なども学校教育費の一つです。
学校給食費
学校給食費とは、小学校の給食に対して支払う費用です。ただし実施に必要な施設・設備の整備費や、修繕費、人件費などは含まれません。学校給食費は、学校給食法という法律に基づいて決められています。
小学校の学校給食費は地域によって差がありますが、全国平均は年間約4万9千円程度です。小学校の給食費用については度々メディアでも話題に取り上げられますが、規定の経費以外の学校給食に必要な金額は保護者の負担になると法律で定められています。
参考:衆議院「学校給食法」
授業料(私立のみ)
私立小学校は保護者から集めた金額で運営していることが特徴です。公立小学校とは異なり、都道府県の自治体からの税金による援助が受けられないため、授業料が発生するのが特徴です。その分、質の高い授業や最先端の授業が受けられるメリットがあります。
ただし私立小学校の中でも学校によって授業料に大きな差があるため、選ぶ小学校によって月々の負担は変わります。例えば、神奈川県の慶應義塾横浜初等部の年間授業料は96万円です。対して長崎県の長崎南山小学校は14万4千円とのことです(令和5年4月現在)。
参考:学校法人長崎南山第二学園 長崎南山小学校「長崎南山小学校児童募集要項(令和5年度)」
入学金・施設設備費(ほぼ私立のみ)
私立小学校では、授業料以外に学校施設を維持するための費用が発生します。施設設備費は既存の施設のメンテナンスだけではなく、新しい施設を新設する際にも必要になる費用です。施設設備費は「学校給付金」に該当するケースも多く、その際は冷暖房費や保健衛生費なども含まれます。
また私立では入学金や入学検定料が発生します。入学金は入学の際の手数料や設備費として活用され、授業料以外に納める必要があることが特徴です。入学金・入学検定料は学校によって額が異なるため、検討先の小学校のホームページを確認しましょう。
公立小学校必要な費用
以下に、文部科学省による令和3年度の公立小学校でかかる費用をまとめます。
- 図書・学用品・実習材料費など……24,286円
- 通学関係費……20,460円
- 学校納付金……8,113円
- その他……5,380円
- 修学旅行費など……5,283円
- 教科外活動費……2,294円
- 入学金など……158円
一年間にかかる学校教育費は上記の65,974円、学習費用の総額では年間約35万3千円とのことです。前回の平成30年度の調査では約32万1千円だったため、増加傾向にあるといえるでしょう。
学校教育費に着目すると、図書・学用品・実習材料費の多さが目立ちます。私立でも学用品に発生する費用はありますが、公立小学校では授業料が発生しないため、比較的多くの家庭が通わせやすい総額といえるのではないでしょうか。
私立小学校で必要な費用
以下に、文部科学省の同資料による私立小学校でかかる費用をまとめます。
- 授業料……536,232円
- 学校納付金など……162,624円
- 通学関係費……104,467円
- 入学金など……66,046円
- 図書・学用品・実習材料費など……49,932円
- 修学旅行費など……18,864円
- その他……14,139円
- 教科外活動費……8,709円
私立小学校では公立小学校に比べ、すべての費用が増加傾向にあります。なかでも特筆するべきは、公立小学校にはない授業料の存在でしょう。私立小学校で必要な学校教育費用は961,013円ですが、授業料は内訳の55.8%を占めています。
上記は学校教育費のみの記載であるため、私立小学校の学習費の総額はさらに増えて約166万7千円です。平成30年度の調査では約159万9千円だったため、公立小学校と同じく増加傾向にあることがわかります。
公立と私立の金額差の理由
ここでは、公立と私立の金額差の理由についてご紹介します。一般的に「私立は高い、公立は安い」といわれますよね。その原因となる金額面の理由を学び、子どもの将来とライフプランについて考えていきましょう。
公立は授業料が無料
日本では中学校までの教育が義務化されています。それに伴い、日本国憲法において定められた「学校教育法」では、国立(公立)学校における義務教育が無償になることが記されています。
私立小学校はあくまで「公立よりもレベルが高い授業や、独自の授業を習いたい」と希望する家庭の選択であるため、公立では発生しない授業料が必要になるのです。
参考:文部科学省「家庭の教育費負担や公財政による教育分野への支出等」
学校納付金の存在
文部科学省によると、私立では公立と比べて20倍以上の学校納付金が必要です。学校納付金は、学校が提供する学習施設やサービスを利用するための対価として認識されます。施設全般が対象になりますが、各教室や図書室、グラウンド、パソコンや楽器などの学校管轄の備品などが代表的です。
私立は芸術文化活動や教養面での費用が多い
すべての小学校に当てはまるとは限りませんが、私立は芸術文化活動や教養面での費用に力を入れている傾向にあります。例えば最先端の学習を実現するために高いテクノロジーを取り入れた備品を導入したり、本格的なオペラや歌舞伎などに触れさせたりすることなどが挙げられます。
修学旅行や課外学習で海外に行く学校も多く、教科ごとに外部から先生を招くことも一般的です。教養を高めるための施設を所有している場合もあり、総合的な金額が大きくなります。