学習効果を上げる「空間認識能力」について学ぼう

空間認識能力とは、物体の配置を正確に把握し、それを理解・操作するスキルです。高い空間認識能力を持つ人は、地図を読んだり運動したりするのが得意な傾向があります。

子どもにとって、空間認識能力の発達は重要です。遊びを通して高い空間認識能力が育まれると、リスク回避能力が向上します。日常生活で物事を効率的にこなす力も養われるでしょう。さらに、数学や物理などの理系分野で能力を発揮しやすいです。

今回は空間認識能力の概要やメリットを紹介するとともに、空間認識能力の育て方について詳しく解説します。

空間認識力・空間把握能力とは

空間認識力・空間把握能力は、三次元空間で物体の状態・関係を迅速かつ正確に把握する能力のことです。高い空間認識能力が備わっていれば、物体の方向や位置、形状などを瞬時に理解し、頭の中でイメージすることができます。

地図を見て行き先を把握したり、スポーツにおいて正確な動作や戦術を展開したりする際に空間認識能力は欠かせません。学習場面では、たとえば図形の学習で展開図から完成形を想像する際に使われます。

空間認識能力は、個人の行動や認識に大きな影響を与える重要な能力です。日常生活からスポーツまで幅広い場面で役立つ力といえるでしょう。

空間認識力が高い人の特徴

空間認識能力が高い人は数学や物理に強く、絵や図を上手に描ける傾向にあります。また、スポーツの上達が早い人も多いです。瞬時に危険を察知する能力が備わっているため、自転車や車の運転も比較的優れているといえるでしょう。

子どもの空間認識能力が高い場合、関連する分野の能力を伸ばす教育法を採用すると効果的です。ここでは、空間認識能力が高い人の4つの特徴について解説します。

数学や物理の教科に強い

空間認識能力の高い人は、数学や物理の理系教科に強い傾向があります。立体図形や空間の関係を素早く把握し、直感的に理解できるためです。

たとえば数学の問題では、図形やグラフを視覚化し立体的にイメージしながら解法を見つけるなど、論理的思考を発揮するでしょう。物理の問題においても、力学的な現象や物体の運動を立体的に理解しやすくなります。

空間認識能力が高い場合、効率的なアプローチ法を用いてスムーズに回答できるため、理数系科目に対する苦手意識の軽減につながりやすいのです。

アートで自己表現することが得意

空間認識能力の高い人は、絵や図を描く際も優れた能力を発揮します。物の位置関係を脳内で正確に処理できるため、平面上でも立体的な表現が可能です。アートで自己表現することが得意な人が多いといえるでしょう。

子どもの成長段階においても、自由に絵を描くことは空間認識能力を育む重要な活動です。絵を描く過程で、自分のイメージを平面上に表現するために多角的な見方は欠かせません。空間認識能力が高い子どもは、絵を通じて立体的な表現ができる特徴があります。

自己表現が可能になれば自信につながり、空間認識能力に加えて豊かな想像力や創造性も発揮できるでしょう。

スポーツで高い能力を発揮する

第一線で活躍するアスリートは、空間認識能力が高い人が多いとされています。スポーツでは相手と味方の動きを同時に見て次の展開を予測したり、ボールの跳ね方で自分の次の動きを迅速に判断したりと、瞬間的に情報処理して次の行動を決めなければなりません。

たとえばサッカーや野球などのスポーツでは、ボールや相手プレイヤーの位置を正確に計算する必要があります。的確なプレーを行う際に空間認識能力が大きく関わってくるのです。

空間認識能力を鍛えると、スポーツにおいて高い能力の発揮につながり、より戦術的かつ戦略的なプレー展開が可能になるといえるでしょう。

日常生活のなかで危機回避ができる

空間認識能力が高いと、日常生活でのさまざまな危機回避が可能になります。自分と物体の位置関係を把握しつつ、わずかな変化に対応でき転倒や事故を未然に防げるためです。

空間認識能力が高い人は、段差や傾斜で転んだりつまづいたりすることがあまりありません。また、自動車の運転では、適切な車間距離を保ちながら周囲の車両や障害物を適切に把握できます。

空間認識能力に優れている人は、危険な状況に遭遇した場合もすばやく判断して対応するため、事故を回避できる確率が比較的う高いといえるでしょう。

生活にも役立つ空間認識能力

空間認識能力は、日常生活でも非常に役立つ能力です。地図や運転など、さまざまなシーンで効果を発揮します。生活場面における空間認識能力は、例えば以下のものが挙げられます。

  • 地図を読むとき:地図を見て迷うことなく目的地にたどり着ける
  • 自転車や自動車の運転時:車や歩行者の位置を正確に把握して安全に運転できる

空間認識能力が高い場合、地図をもとに自分の場所や周囲の地形などを把握し、目的地にスムーズに到達できます。自動車を停める際も、車体の大きさと駐車スペースを正確に判断しながら駐車できるでしょう。

ほかには、インテリアを整えたりきれいに収納したりするときにも役立ちます。

空間認識能力が低い人の注意点

空間認識能力が低い場合、生活や学習などでデメリットを感じる場面が多くなる傾向があります。具体的に想定されるシーンは以下の通りです。

  • 地図を読むのに時間がかかる
  • 机の中の整理整とんがなかなかできない
  • 物体のスピードや距離感を読み違える
  • スポーツでミスが多くなる

空間認識能力が低い場合、方向感覚が定まらず地図があっても目的にたどり着けないケースがあります。整理整頓が苦手で、生活空間に無駄なものが増えてしまう可能性もあるでしょう。さらに転倒や事故などの危険を回避しにくくなるかもしれません。

空間認識能力が低い場合は、安全面で注意が必要です。ただし、適切なトレーニングや練習を通じて空間認識能力を高められます。次の章で確認していきましょう。